Q&A

治療開始時期、治療の必要性など

Q1.矯正治療はいつ頃から始めるのが良いのでしょうか?

乳歯列期でも受け口で顎が曲がっている場合は早期の治療をお勧めしています。
最初に永久歯の歯並びや咬み合わせに問題を生じる時期は前歯の生え変わりの頃です。デコボコや受け口、指しゃぶりなどの癖による不正(出っ歯や前歯が咬み合わない開咬)などは上下の前歯がそれぞれ4本生え揃った頃(6~8歳頃)には治療をお考えください。ただし、開始時期であってもお子様自身がいやがらずに治療にかかれるまで様子を見ることもあります。

お口の中の状態によって治療開始時期は異なりますのでお子様の歯並びや咬み合わせで気になることがありましたら、一度矯正専門医院を受診してみてください。まだ、開始時期に早ければ適切な治療開始時期まで経過観察をしてもらえます。

Q2.早期に治療を開始する必要がある咬み合わせは?
  • 受け口
  • 前歯だけに強い力がかり、歯肉がさがり(歯肉退縮)、重症の場合は歯がグラグラしてくる(咬合性外傷)
  • 正しい位置でまっすぐに咬めず、顎を横にずらして咬んでいる(交叉咬合)
  • 永久歯がなかなか生えてこない(萌出異常、萌出遅延)

詳しくはこどもの矯正をご覧ください。

こどもの矯正

Q3.子どもの時から矯正治療を始めるメリットは?

矯正治療は大人になってからでも受けることができますが、子どものうちに受けることによって、あごの成長発育を利用できます。 歯並びや咬み合わせの悪さは歯だけではなく、顎(骨格)にも問題がある場合が多いのです。しかし、成長が止まってしまった大人の場合、不正咬合は歯の移動で治すしかありません。そのため、治療効果にも限界があります。 また、大人で明らかに骨格に問題がある顎変形症などの場合は外科手術を併用した矯正治療が必要になってきます。 一方、発育過程にある子どもの場合は上下の顎の成長を抑制したり、促すなどして治すことができます。

要するに、歯並びと骨格の両面から治していくことが可能なわけです。そのため、健康な歯を抜歯せずに不正咬合を治せる可能性も出てきます。

こどもの矯正

Q4.40歳を過ぎても矯正治療は可能ですか?

力を加えると歯が動くという現象は子供でも、成人でも、高齢の方でも同じように起こります。したがって、40歳を過ぎても矯正治療は可能です。50代や60代になっても治療は受けられます。ただし、歯を支えている歯茎や歯槽骨などに問題が無いことが条件となります。
重度の歯周病に罹っていたり、歯を失ったりしていますと治療が難しい場合もあります。そのような場合は歯周病の専門医や歯の欠けた部分を補う補綴治療の専門医と相談して治療が可能か否か決めています。歯並びや咬み合わせが悪いと軽度の歯周病が悪化したり、虫歯ができ易くなり、歯を失うことにもなりかねません。ご心配でしたら、是非一度ご相談下さい。

矯正治療の必要性~究極の予防(8020運動)~

治療期間、通院、費用など

Q5.治療にかかる期間と通院の頻度は?

年齢や歯の状態によって異なりますが、2〜3年かかります。通院は月に1度程度です。治療後の保定観察期では4〜6ヶ月に一度ですみます。

Q6.1回の治療時間は?

治療内容によって異なりますが、30分から1時間程度です。

Q7.治療費に健康保険はまったくきかないのでしょうか?

顎変形症、唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)や生まれつき6本以上の歯が欠如している場合など、先天的な疾患がある場合には健康保険が適用になります。

Q8.矯正治療は医療費控除の対象になりますか?

審美目的でなく、咀嚼(そしゃく)・咬合機能改善のための矯正歯科治療であれば、年齢に関係なく医療費控除の対象になります。治療費と通院交通費の領収書などをご用意のうえ、税務署に申告してください。診断書をご希望の場合はお申し出ください。

治療費について

Q9.確定申告する際に領収書は一括領収書になりますか?

一年間で個々に発行された領収書の合計金額になります。そのため、治療毎の領収書は紛失されないように大切に保管しておいてください。

治療や治療中の注意事項などについて

Q10.治療のために健康な歯を抜くこともあると聞きましたが、なぜですか?

患者様と同様に私達も出来る限り歯を抜かずに治療をしたいと考えています。しかし、歯と顎の大きさのバランス、上下の顎の位置関係、口元・横顔の形は患者様によって異なります。そのため、それぞれの患者様に適した治療方針を選択することになります。
その中で、歯を抜かなければならない理由は主に次の3つとなります。

  • 歯と顎の大きさのアンバランス
    (歯が大きい、顎が小さいなど)

    ある程度は顎を拡大したり、歯列を拡大することで対応できますが、大きさのアンバランスが限度を超える場合には抜歯することで、歯を並べるスペースをつくる必要があります。

  • 上下の顎の前後的なズレ
    (上顎前突や下顎前突)

    ある程度は顎を拡大したり、歯列を拡大することで対応できますが、大きさのアンバランスが限度を超える場合には抜歯することで、歯を並べるスペースをつくる必要があります。

  • 横顔で口元が出ている、口が閉じにくい

    口元は前歯の位置に連動します。横から見たときに口元が前に出ている、また、そのために口が閉じにくい場合は抜歯により歯を後方へ移動し、口元を改善します。

当院の実際の症例は下記よりご覧ください。

Q11.矯正治療中の痛みはどの程度ですか?

痛みには個人差がありますが、初めて装置を装着したり、ワイヤーの調整、歯を動かすためゴムをかけた場合などに、お食事の際に咬むと響くといった痛みが2、3日程度続きます。治療をした日の夜から次の日にかけてが痛みのピークで、その後は徐々に痛みは減少し2、3日程経つと、ほとんどの方は痛みを感じなくなるようです。
当院では必要に応じて痛み止めを服用してもらいます。

Q12.治療中の歯磨きが心配です

矯正治療に使用する装置には取り外しができる装置と固定式の装置があります。取り外し式装置の場合は通常の歯磨き方法で対応できます。
問題は固定式装置の場合です。歯磨きがしにくいので普段以上に丁寧に時間をかけて行う必要があります。普通の歯ブラシ以外にも特殊な形状の歯ブラシを補助的に使って頂いています。
当院では治療開始前に通常の歯磨き方法を指導し、装置が付いた時に再度歯磨き指導を行い、定期的にフッ素塗布も行っています。

Q13.治療中の食事で注意することはありますか?

装置を着けはじめの頃は、やわらかめのものを中心にして小さく切って食べましょう。装置に慣れてきて歯の痛みも無くなったらほとんどのメニューは問題ありません。できれば避けた方が無難なものはガム、キャラメル、お餅、固いおせんべい、氷、スルメ、フランスパンなどです。リンゴの丸かじりも避けた方が良いでしょう。
ブラケットにワイヤーを固定する「エラスティックリガチャー」や歯を動かす時に使用する「エラスティックモジュール」は着けた時は透明ですが、食物や飲み物の色素が沈着して着色します。カレー類やトマトソース系の料理は着色しやすいです。次の予約の直前に食べる方もいるそうです。

Q14.治療中でも、スポーツや吹奏楽器の演奏は普通にできますか?

たいていのスポーツは問題ありません。
フィギアスケートの宮原知子選手や新体操日本代表選手も矯正装置を着けて世界大会で活躍しています。過去にはアメリカ大リーガーの青木宣親選手、サッカーの森本貴幸選手、マラソンの土佐礼子選手なども矯正治療経験者です。
吹奏楽器は種類によっては慣れが必要です。
中でも矯正治療が影響するのは主に管楽器です。管楽器の中でもフルートのような木管楽器やマウスピースの大きい金管楽器なら支障はありませんが、シングルリードのクラリネットやサックスは装置に慣れるまでは思うような音が出しにくいようです。トランペットやホルンのようなマウスピースの小さい金管楽器は口唇を楽器に押し当てて演奏するため、口唇の粘膜に痛みが出たり、音が出しにくいこともあるでしょう。
また、サックスやクラリネットのような縦笛系統の楽器は指しゃぶりと同じような力を歯に与えるため、出っ歯や開咬になりやすく、治療中の歯の動きを妨げることもあります。

Q15.金属アレルギーがあっても矯正治療はできますか?

矯正治療に用いられる金属材料にはアレルギーの原因となりうるニッケルやクロム等が含まれていますが、ニッケルを含まないワイヤーやアレルギーを起こしにくいチタンやセラミック・プラスチックだけのブラケットも開発されています。ただし、そのような材料の種類はあまり多くないので、治療内容に多少制約が出ることがあります。
また、マウスピース型矯正装置での治療であれば、金属アレルギーの方も安心して治療を受けられます。

Q16.治療中に妊娠・出産は可能ですか?

矯正治療中に妊娠しても特に差し障りはありません。通常は臨月までは通常どおり治療を進め、来院間隔を空けながら出産準備を優先します。しかし、「つわり」がひどいときや体調がすぐれないとき、または、産婦人科医から安静を指示された場合には、治療を一時中断することもあります。
また、エックス線撮影や薬剤処方に関しては注意が必要となります。治療を再開するのは出産後、母子ともに落ち着いてからで構いません。
妊娠前後はホルモンのバランスが変化するため、普段より歯肉が腫れやすくなり、むし歯や歯周炎にもかかりやすくなると言われています。生まれてくる赤ちゃんのためにも日頃の歯みがきを丁寧に行い、健康な歯を守りましょう。

Q17.転勤の可能性があります。
治療途中で転居によって通院が困難となった場合、その後の治療や支払済の治療費はどうなりますか?

当院は約450人の矯正専門開業医から構成される全国組織・日本臨床矯正歯科医会に所属しております。治療途中で転居することになっても診療所を移る際の料金精算・継続診療システムが確立されていますのでご安心下さい。日本臨床矯正歯科医会の会員が不在の地域でも日本矯正歯科学会の会員がいれば転院可能です。転居先の先生を紹介し、治療費も治療の進行状況に応じて返金します。

海外への転居の場合は地域によっては個人的な知り合いの先生に紹介します。いない場合は世界矯正歯科医師連盟(WFO)の会員名簿から探すことになりますが、技術がしっかりしているかの確認ができない場合が多いので勤務先の海外勤務経験者から赴任先の矯正治療情報を聞いていただくのが一番確かです。